Column
コラム
連載タイトル:DXが加速するGX ―リサイクルビジネスの目線から―
第12回: データ活用を成功させる5つのステップ
資源循環システムズ株式会社
マネージャー 金田 栄
DXを成功に導くには、企業の持つデータをビジネスで継続的に活用するための組織的な取組である「データマネジメント」が必須となる。データマネジメントとは、単なるデータ活用ではなく、データを登録、更新、管理する仕組みを整備すること、つまりデータ構造を形式知化する取組のことである。
データマネジメントを通じて目指すべき目的は、「データに基づいた事業戦略策定ができる」体制整備にある。新たな戦略を策定する上でデータは貴重な存在であり、企業として更なる成長を目指すには、仮説検証を繰り返し、データに裏付けされた信頼性の高い戦略を策定する必要がある。データマネジメントにより、あらゆるデータを整理された形で管理することで戦略策定に必要な情報をリアルタイムで取り扱うことで、データドリブン経営が実現できる。
近年、多くの企業では「DX推進部門」が設置されており、データマネジメントはこのDX推進部門が既存のシステム部門と協力して進められることが多い。
しかし、「時間をかけても成果が見えない」、「完成したシステムが現場部門に利用されていない」といった失敗事例も発生している。時間をかけても成果が見えないのは、データマネジメントの理解が社内全体に浸透していないことにより、ソリューションの選定、各部門への説明、既存のシステム部門との調整が上手くいっていないことが原因と考えられる。
また、現場部門に利用されていないのは、ソリューションやツールの導入そのものが目的となっていることにある。データをどう活用し、どんな成果を挙げるのか、というテーマが抜け落ちていれば、現場部門にとっては無用の長物に過ぎない。
そこで、データマネジメントを成功させるため、「データ把握」、「データ標準化」、「データ収集」、「データ管理」、「データ活用」の5つのステップを踏むことが求められる。
データマネジメントという言葉からは、データ収集、管理、活用といった運用フェーズを思い浮かべられるが、その前段階として、データ取得先の把握、ビジネスに活用するデータの把握、事業領域を横断した分析を行なうため、社内に点在するデータを予め1つのデータ構造に合わせて扱いやすくするデータ標準化といった準備フェーズが重要となる。
当初の目的を単純なシステム間連携に設定した場合も、実はビジネス目的の実現には異なる方法が適しているという結論が判明することも少なくない。どのような企業でも、何らかのデータ収集、管理は行われているが、その現状を把握することで、データをどのようにビジネスに活かすか、DXで何を成し遂げたいのかを明確にした上でデータマネジメントに取り組む必要があるのである。
データマネジメントシステムを導入する際には、「スモールスタート」が有効である。まずは、一部の業務システムからスモールスタートすることでアジャイル的に新たなアイディアなどの実現可能性や、それにより得られる効果の検証(Proof of Concept、PoC)を実施し、小さな成功体験を組織全体で積み上げ、社内全体で部分的にでもデータマネジメントの成果を見てもらうことで具体的なイメージを共有し、本当に役立つものは何なのか、今後、どんなデータが必要なのかを明確化することが、DXの実現の前提条件となる。
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