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Column
コラム

連載タイトル:リサイクルビジネスのためのDX戦略講座

第3回:「データ活用」 について

資源循環システムズ株式会社

マネージャー 小野寺 陽

 

DXにおける企業の「データ活用」とは、事業活動全体の効率化や生産性向上などに、事業活動でため込んだ様々なデータを活用することである。日々の業務にデータ活用を組込み、どのように活用するかは、これからのビジネスにおいて欠かすことのできない取組であり、DX推進における意思決定では大きな役割を担うこととなる。業種を問わず、市場が大きく変化する中で新たな課題に挑戦するにあたり、データをビジネス判断の根拠とする「データドリブン企業」への道筋を具体化することが求められている。

企業によってデータ活用の目的や手段は多岐にわたるが、特に重要なのは、データを活用した「経営戦略の策定と検証」である。近年では、DXへの注目度の高まりを受けて、データの重要性がこれまで以上に強調されている。一方、実際に自社で保有するデータを十分に活用できている企業は多いとは言えず、仮にデータ分析を行っていたとしても、最終的な意思決定は経営層の経験(K)、勘(K)、度胸(D)によって行う「KKD経営」が行われていることが多い。客観的なデータ活用のメリットは、数値や統計を用いた説得を実現することにあり、そこにデジタルツールを活用することが経営面でのDX加速を促すのである。

では具体的にどのようにデータを活用するのか。データドリブン経営を成功に導くためには、「データ収集」、「データ分析」、「分析結果の可視化」、「意思決定」の4つのステップを踏むことが望ましい。

最初のステップとして、売上数値や顧客情報など社内に点在したデータを集約・構造化し、社内に点在するデータを一元化・集約する仕組みの構築から始めるべきである。顧客の取引情報が営業マン毎に属人化していないか、データとして共有できる体制になっているか、施設の稼働データと売上データが分断されていないだろうか、などを検証するのである。

次に、それらのデータを整理し、データ分析を行う必要がある。データを1つの部署やデータベースに集めるだけでは、全く意味をなさない。ここで重要なのは、分析する目的、つまりデータドリブン経営が「何のデータを見える化したいのか」を事前にしっかり定めることである。データを目的ごとに整理することで、初めて価値のあるデータとなり得る。データの統合・分析には当然特別なスキルが必要であり、具体的な課題解決方法を提案可能なデータアナリストやデータサイエンティスト等外部人材の導入も一案である。

第三に、分析結果の可視化を通じて、意思決定を行う経営層に分かりすく提示し、スムーズに理解を得るためや、データの効率的な整理・分析に役立てるため、数値やグラフなどを用いて、分析結果を可視化する必要がある。分析・可視化には、例えばBI(ビジネスインテリジェンス)ツールという外部ソースを導入することも効果的と考えられる。

最後に、可視化されたデータに基づき、経営戦略や組織変革などについて、経営者が意思決定を行う。一度意思決定した事項については、自社に適したアクションプランの策定を前提実行し、PDCAサイクルを回すことで改善を図っていく。

デジタルツールを用いなければ、以上4ステップの定着化とPDCAサイクルの高速化は不可能である。ITの進化や・ビジネスモデルの変化などの様々な要因により、顧客ニーズは多様化し、KDDに代表される過去の経験則は通用しにくくなっている。そんな状況を打破するため、「データドリブン経営」に取り組むことが、リサイクルビジネスにも求められているのである。

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